乗越とチューリップ

今年で14回目となるチューリップ祭りですが、始まりは2011年、東日本大震災がきっかけでした。震災の影響で催事も全て中止。行き場のなくなった高岡産チューリップをなんとか救いたいと、高岡でJUN BLEND KITCHENという店を営む大坪順子が、チューリップイベントを金沢の乗越に持ちかけ、共同で開催することになりました。
高岡産チューリップ(切花)の生産者は現在6名でほとんどが若手。水切り、水あげ、保冷庫での保管など、品質管理にも気を配り、多様な品種のチューリップを生産しています。ちなみに、毎年約240万本作られていますが、金沢に届くのは約4000本とごくわずかだとか。
チューリップ祭りのチューリップは、JUN BLEND KITCHENが、花市場を通して農協から仕入れ、出荷場まで取りに行きます。販売価格は200円~とお手頃ですが、安く仕入れているわけではありません。忙しい年末年始と3月の狭間の、ちょうど需要の少ない端境期にイベントを開催することで、販売価格を抑えることができています。もちろん安ければ良いとは思いませんが、なるべく日頃お花を買わない方々にも関心を持っていただけるように、買いやすい金額でとは考えています。また、「出せる時期に、出せる量で、出せる規格で、色もおまかせで」と、生産者にも負担のない形で注文しています。
毎年、チューリップ祭りの売上から、一本につき50円をチューリップ貯金に回しています。その貯金は、高岡のチューリップの未来に繋がることに使いたいと考え、2023年には東京農業大学の学生らを招きました。チューリップ祭りのお手伝いをしてもらい、チューリップ畑などの現場見学も行いました。
10年以上続けてきたことで、高岡チューリップの多彩さやお花のある生活の楽しみを多くの方と共有できているように感じ、とても嬉しく思っています。今年もぜひチューリップに埋もれにいらしてください。